『愛のうた、パリ Love Songs』 (2007 フランス)

19日、仕事の片付けもそこそこに、スパイラルへ。

このプログラム、上映開始時間は21:00。
彼女、その時間には布団に入り寝てしまう人なので、この日はヘテロ妹と一緒に出掛けた。

映画祭はやっぱスパイラルだなあ。

フェスティボーな雰囲気と、久しぶりの面々に挨拶したり、社交が楽しい。
まあ、極度の人見知りな妹を連れて行ったので、あんまし社交らしい社交はできなかったんだけれど。

予告編から想像していたより重い内容だった。

小さな新聞社に勤務する青年と同居している恋人(女子)、青年の同僚の女子(バイセクシュアルなのかなぁ)が3人で付き合うことになり・・・という滑り出しで、ポップでオシャレな青春ストーリーかと思いきや(なんせミュージカルだし)、愛する人の死をいかに乗り越えていくか?喪失感と回復までの軌跡を3部構成で綴るという内容。

この映画のよかったところ。

自分がゲイだとかレズだとか、3人で付き合うってありなの?とかそんなことで主人公たちがぐだぐだ悩まないところ。

そりゃ、苦しんだり、葛藤したりはするんだけれど、それはあくまで個人の問題として捉えている感じで、「私、女の子とセックスしたり、3人で付き合ったり、変なのかしら?」なんて悩まないのだ。

常々、もうゲイやレズやトランスである、その事で悩み苦しむ映画はもういいよーと思っているので、こういう映画は好き。

それからね、曲がよかったです。
ミュージカル映画なんだから、曲が駄目だときついだろうなあと思っていたけど、タイプな感じでホッとしました。

ゲンズブールを唄う初期のヴァネッサが好きというワタクシとしてはこの映画の曲のおフランスな感じはタイプなんですよ。

えぇ、ベタで結構。
こういう感じ、好き。

最大のお目当ては「映画史上、もっともロマンティックなゲイ・ラブシーン」と絶賛されたという、男の子同士の恋愛模様だったのですが、これもよかったです。

ミュージカルなので唄いながら口説き、ベッドインするんですが、けっこう乗って観れました。

誘うほうのダサいダサい言われていたブルターニュ出身*1の男の子がかわいかったです。ほっぺとかピンクで。

それから素朴な疑問。

フランス人ってあんなにいちゃいちゃべたべたするものなの?

劇中、恋人だけでなく、家族も、友達も、お互いへの愛を語り合い、身体的にもべたべたいちゃいちゃ。

わたしは親密感フェチなので、あんな雰囲気は羨ましいと思えた。

さらに、フランス人ばりに夕食時に議論する*2ような家庭に育ち、歴代の彼女たちにもさっぱりかわいくないディベートをしかけてしまうような人間なので、登場人物たちの言葉のやり取りは、多少レトリックがうざいと感じるところもあったけれど、おおむね共感。

でも、あれを日本でやるとぎすぎすしてしまうんだろうなあ。

映画を観終わった後、気分が高揚していたので勢いで、近所のいつも堅ちゃんが飲んでいるワインバーへ寄り、ワインではなくおいしいドイツビールを飲んで帰りました。

映画の後は、一緒に観た相手とおいしいもの食べたり飲んだりして感想を話し合うのが、やっぱり楽しいです*3

*1:劇中、ブルターニュ出身というだけで、漁師ばっかり、クレープ喰ってる、レモン味の・・・とか揶揄されていたんだけど、フランス人においてはブルターニュ出身ってどんな意味合いなんだろうか・・・

*2:中曽根が不沈空母と言った問題についてとか。コンドームは最初からつけないと意味がないとか。政治的なことから性的な話題まで家族全員で色々議論する。

*3:本音を言えば、やっぱり彼女と観たかったし語りたかったなぁ。