ココロの風邪

春日武彦さんの本の中に、先輩医師のこんなような*1話が紹介されている。

「いやー、ずいぶん長い風邪だなーとその時は思っていたのだけれど、今にして思うとあれは軽度のうつ症状だったのかもしれない。」


「なんとなく身体がだるくて、微熱っぽいのが抜けないから風邪だとばかり思ってたけど、あの時確かにストレスフルだったんだよなあ」


「逆に言うと、軽度のうつ症状っていうのはココロが風邪を引いたようなものなのかもしれないなあ」


この話を、野口晴哉先生の「風邪は経過するもの」という考え方と結び付けてみると、ちょっと面白いと思った。


野口先生は風邪*2について著作の中でこう述べている。

風邪とは治すものではなく経過するものである。


体を使っているうちに、ある一部分が偏り疲労の潜在状態になって、そういう部分の弾力性が欠けてくると風邪を引き、風邪を引いた後、恢復している。


風邪は病気というよりも、風邪自体が治療行為ではなかろうか(略)。


ただ風邪を完全に経過しないで治してしまうことばかり考えるから、ふだんの体の弱い処をそのまま残して、また風邪を引く。


上手に風邪を引けば、体は丈夫になっていくのだ。

今わたしはココロもカラダも疲弊気味なのですが、このふたつの文章をあわせて読むと、上手に経過させて「もっと丈夫なココロとカラダになろう!」と思えてくるよ。




心という不思議―何をやっても癒されない (角川文庫)

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風邪の効用 (ちくま文庫)

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※コメント欄を再開しました。

*1:記憶で書いてます。だいたいこんな内容だったと思いますが、不確かです。

*2:野口先生は「風邪は(整体治療において)治すのが一番難しい」と言っています。世間一般の風邪のイメージというと「たかが風邪ぐらい」とか「風邪は寝て治す」といった感じでしょうか。野口先生の風邪の捉え方はそれとはずいぶん違います。興味のある方はぜひご一読ください。風邪のイメージがかなり変わりますよー。