こいつとなら一緒に死んでもいい

今夜はKさんと月一回の恒例デート。
かわりばんこに夕食をご馳走しあっているんだけど、今日はわたしの番です。


以下は前回のデートでのこと。


そういえば、別れた奥様との出会いの話を聴いたことがなかったなと思い、思いきって訊いてみた。
Kさん、すらすらと出会いのストーリーを口にする。
聴いているうちに「ん?これは奥様ではなくて、その前にお付き合いしていた初恋の女性のことでは?」と思いあたる。
果たして、そうであった。


ひとしきり話されて満足げなKさん。
あらためて「それで、奥様とは…」と尋ねると、あーそうだったねぐらいの調子で短く答えてくれた。
最後に「彼女に面影が似ていたんだよね…全然違ったけどさ」とぽつり。


うーん。元奥様の身になって考えるとやってられない話だなあと切なくなってしまった。


その後、いつもどおり戦中の話になったのだが、「こいつとなら一緒に死んでもいいと思うことがあるんですよ、には。女性には分からないだろうけれど」と言われ、引っかかってしまう。


「女性は子供がいたりしますし、簡単には死ねないですよねー」と調子を合わせてみたものの、なんだか腑に落ちず、そのように感じるか感じないかは男女差というより個人差ではないだろうか?とか、最近の男性は草食系男子なる呼称もあるほどだし、そういう感覚*1は希薄なのではないか?などとKさん相手に語ってしまった。


この日は、会話中に『セックス』という単語と『モーションをかける』という表現がKさんの口から飛び出し驚いたりしもした*2


80歳の男性とセックスやジェンダーの話をすることなど想定外であったので、あたふたしてしまったよ。
これからもKさんとは月に一度ほど食事をする予定なのだが、今後どのように話を展開させようか、ちょっと考えとこう。


Kさんとは、うわべだけの会話はしたくないんだ。


珍しく熱くなった夜。



追記:昨日は「今年は予想されていたようなパンデミックが起きなくてよかったですね」という話をした(パンデミックという単語は説明なしで通じるのだ)。そうしたら、やはり戦中の話になり「人は死にたくなくても死ぬからね」と一言。うーん、重い。春先は鬱っぽくて「死んじまいたいな…」という感情がぽこぽこ湧き起こりがちな私なんだけど、そんなこと言ってられんとちょっと目が醒めた。

*1:マチズモ礼賛であったり、ホモソーシャルな関係を崇高とみなすような古典的な「男らしさ」。「男にしか分からない」と、しばしば男性が言う感覚。

*2:初恋の人との出会いのエピソードの中「彼女に一目ぼれをしてモーションをかけて落とした。」「セックスはしないけど、やるときにはやるんだよ、僕。」という文脈で登場。