パーティーでほぐれて

先週の土曜日、↓コチラの本の出版記念パーティーへ行ってきました。

クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす

クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす

セックス、セクシュアリティジェンダーをめぐる「思い込み」って、本当にたくさんあって、わたしの中にもちろん存在する。

ふだんエロい発言満載なわたしですが、自分がエロいという事実を丸ごとでは受け入れきれていないし、メディアの刷り込みであると頭では分かっていても自分のカラダのコンプレックスは消えない*1

他にもまだまだあるし、「これって思い込みだよなー」と気づかされる局面に遭遇することはいまだにある。

「思い込み」に気づくということだけでなくて、その「思い込み」による囚われから解き放たれることが実は大事で、一筋縄ではいかないところ。

そんな『性の思いこみを解きほぐす』というやっかいな作業が、この本の中では分かりやすい言葉を用い、具体的な事例を示しながら、なんというか軽やかになされてます。

興味がある方はぜひ読んでみてください。



で。

パーティーですが。

『出版記念パーティー』とか、なんだか華やかなイメージ*2だし頭のよさそうな人が大集合していそうで、わたしには一生縁のないものだと思っていたのですがね。

縁ってどこに転がっていて誰と繋がるかなんて、ホントわからないもんですねー。


「今年のコリは今年のうちに!― "性の思いこみを解きほぐす" 大パーティー」と題されたとおり、トークあり、パフォーマンスあり、アート展示ありの盛りだくさんな内容で、3時間はあっという間でした。


会場は吹き抜けになっていて、2階では一般のお客さんが普通にお茶していたのだけれど・・・
1階の会場ではマイクを通して「セックス」だの「まんこ」だの「バイブ」だの結構な音量で何度も飛びかってるものだから、みんな「ここは何をしている会なんだ?」と興味津々で階下を覗いてました(笑)。

その光景がかなり面白かった。

初老のご夫婦とか、ラブラブそうなカップルとか、あの後どんな話をしたかしら?



クロストークでは本の中のインタビューにも登場する映画監督の浜野佐知さんの「みんなセックスする順番が間違ってるの。まずバイブ使え!次に同性とやる!それからオトコ!」という発言が面白かった。会場でもとても受けていた。

だけれども、家に帰ってきてからちょっと引っかかりを感じたりもした。

自分の中のレズ・アイデンティティ*3が、男性とのセックスへのステップとして女性とのセックスを捉え実践されることへ抵抗を感じているようだった。

性的に主体的に自覚的に行動するということであれば、相手に対しその旨を隠さず正直に告げて同意を得られるならば、アリなのかなあとも思う。

この辺の感覚は、いわゆる『主婦レズ』と呼ばれる人に対してどう思うかという問いにも通じてくるものだと思うけれど*4

渋谷知美さんからは、次回作への期待も込めて「この本の中では、セックスをする人を中心に書かれている印象が否めない。セックスをしない人(セックスする相手がいないという人、セックスしたいと思わない人)をもっと視野に入れてほしい」との発言もあった。

わたしは、いろいろ考えるところがあり、セックスを遠ざける生活をしていた時期が数年間あったので、そのことを思い出して、セックスをしないということの意味をあらためて考えてみたりした。

摂食障害自助グループの活動をされている鶴田桃エさんのお話には大いに刺激された。このところ「食べる」という行為について考えさせられることが多かったから。


こちらは会場内に展示されていた渭東節江さんのアート作品。


小さな白いかわいらしいおうち。
クリスマスっぽいムードを演出?
んなわけないよな。

恋人同士が仲睦まじく愛を囁き合う、そんな光景がよく似合いそうなおうちなのだけれど、ステレオタイプな幸福の風景を俯瞰して眺めてみれば、けっこうオバカ。かなりウザい。
そんな毒を含んだメッセージも読み取れます(そう思うのはわたしだけかしら?)


中はどうなっているかといいますと・・・
こんな感じ。


ほの暗い赤いライティング&一面に敷き詰められた真っ白なファー。ちょっとエロティックな雰囲気です。そして渭東さんが青春時代によく聴いたというラブソングの決めフレーズをパッチワークした自作ミックスが流れてました。

他にも「わたしのカラダは誰のもの?」という題のおっぱいとお尻がプリントされたTシャツとパンツや、「あなた色に染めてください」という、あなた色に染まりたい人を模した塗り絵などがありました。

どの作品も、思考停止した人(や状態)をクールに笑い飛ばしてます。




そんなこんなで、お寿司とサンドイッチでお腹を満たし、ビールを起爆剤にして、近くに立っておられる方々へ、ぎこちなさ全開で話しかけたり、慣れない社交もしてみたりした。

もっとお話してみたい人はいたのだが*5、いかんせん燃料切れ。

またどこかでお会いしたら、その時は「あのパーティーにいらっしゃってましたよね?」と話しかけてみよう。

*1:この場で「ここのこんなのが嫌」と書くことができない。言葉にできないぐらいいまだに克服できず気にしまくっている。

*2:ほんの一瞬だけだけど、ドレスアップしなきゃなんないのかしら?シビラのワンピ着てこうかしら?などという妄想が頭をよぎりました。着て行っていたら確実に浮いていたよ。

*3:私は自身のセクシュアリティを、「アンチ・ヘテロ」と自称している。いわゆる男性だけに性愛のベクトルが向いていない、強制異性愛主義に抗するという意味を込めて。ふだんへテロの知人・友人にカムアウトする際には「レズなんですよー」と名のる。「レズビアン」でも「ビアン」でもなく。「レズ」という言葉には非常にインパクトがあって告げられた相手への衝撃度が高く面白いので。今後、トランスの人やインターセックスの人、もしくは性別を決めたくない人と恋愛したりセックスしたりするかもしれないと思うし、いわゆる女性(いちいちいわゆるとつけなくちゃいけないところがウザいけど)だけに性愛のベクトルが向くと規定できないが、98%ぐらいは女性に向いているので、しばしばレズ・アイデンティティもむっくりと顏を出すのだ。

*4:わたしは原則、自分の中の欲望に蓋をせず向き合う人は支持するという方向でいるので、ステップとしての同性とのセックスも『主婦レズ』と呼ばれる人の性行動のあり方も否定しない。

*5:ショートカットでボーイッシュな素敵な女子がおりました。ぜひお近づきになりたかったのですが、勇気がなくて話しかけられませんでした。