「ラストフレンズ」で思い出したこと

「ラストフレンズ」ね、一応2話目から毎週見てました。
突っ込みたいことがありすぎる設定とストーリーだけど、それはまあ置いておくとして。


私も学生時代ずっと好きだった女の子がいました。
入学してまもなく仲良くなって、しょっちゅうお互いの部屋を行ったりきたりし、テストの直前にはどちらかの部屋で泊り込みで勉強し、ひとつの布団に二人で寝たりしてました。
夏休みもお互い実家に帰省して大学のある都市から離れても、一緒に旅行をしたり。

自分にはない屈託のない明るさと快活さと育ちのよさといった彼女の健全さが大好きでした。

ほどなく、彼女に彼氏ができてもしばらくは彼女との関係は変わらなかった。
しかし、初めての夜の話やそう言ったことを彼女の口から聞くのは笑顔で聞いてはいたけれど内心では複雑でした。

それほど大好きだった彼女だけれど、わたしはまだ「これは友情だ」と思い込もうとしていました。
しかし、彼氏の登場で自分が彼に嫉妬していることがだんだん分かってきました。
「あー、これは恋愛感情なのか・・・」ということを認めざるを得なくなった初めての体験でした。

やがて彼氏(彼は優しくていい人だったんだけれど)が「俺といるより、○○さんといる時間のほうが長いね。まるで向こうが彼氏みたいだ」と言っていると彼女から言われ、彼女の部屋に彼のジャージやらヤンジャンやらが存在証明のように増えていき、私はだんだん彼女の部屋を訪れなくなりました。

もちろん自分の気持ちを伝えることもなく、彼女は卒業し、私は色々あって大学を中退して実家に戻りました。

それから、わたしが自分のセクシュアリティーを受け入れようと思えるようになるまでに結構時間がかかって、実際にクローゼットからで出たのは24歳ぐらいの時。

大事な友人にはカムアウトしておきたかったので、もちろん彼女にもカムアウトしました(この時のいきさつは後から彼女のダンナも登場したりして結構面白いんだけれど長くなるので割愛)。

私が仕事で上京してからは時々会うようになり、ある時「実はあの時、私はあなたが好きだったんだよ」と伝えたら、「○○ちゃんの気持ちに気付いてあげられなくてごめんね」と言ってくれました。

私はその言葉を聴けただけで十分だと思った。

しかし・・・

この時点で、わたしはなーんにも分かっちゃーいなかった。

相手の気持ちに鈍感だったのは私のほうだったってことに後々気付くことになるんです。

あれから彼女と時々会うと、「こういう色、○○ちゃん好きだったよねー」とか「昔(カラオケで)歌ったあの歌また歌ってよー」とか、よく口にしたり、彼女が酔いつぶれてタクシーに同乗して家まで送っていった時も「こういうときいつもいてくれたのは○○ちゃんだった」とか「こういう姿をみせられるのは○○ちゃんだけだ」とか言ったりして。

私はもう彼女へ恋愛感情もないし、そんな言葉を聴いても「学生時代仲良かったんだから、歳をとって会って思い出話的な発言が多くなるのかなあ」ぐらいにしか思ってなかった。

しかし、ある時酔った彼女が私の名前をいつも呼ぶような「○○ちゃん」ではなく、田舎の父や母が呼ぶような地元のイントネーションを真似して(彼女は一度実家に遊びに来たことがあったんでその時のことを覚えていたんでしょう)、私の名前を何度も何度も繰り返し呼ぶのを聞いていたら、「もしかして、この人は淋しかったんじゃなかろうか。私が心を彼女ほどは開いてはいなかったことをもどかしく思っていたんじゃないか。私だってあなたのことを見てきたんだよって伝えたがっているんじゃないか?」と思いあたりました。

想像ですが、多分告白したとしても彼女は私の気持ちには応えられなかたっと思うのだけれど、気持ちは伝えてほしかったんじゃなかったのかなと思うんです。

私は彼女との友人関係が壊れてしまうのが怖かったから言えなかったけれど、それは彼女をその程度の友人としてしか思っていなかったということになるわけで、彼女は私にもっと信頼して心を開いてもらいたかったんじゃないかなあと、思います。

劇中ミチルがタケルに「時々ルカのことが分からなくなる」という場面がありますが、この場面は全編(ってまだ終わってないみたいだけど)を通じて印象に残っているシーンです。

ルカは、愛する人を守るとか引く愛もあるとか言っちゃっているけど自分が傷つくのが怖いだけなんじゃねぇの。

自分の事でいっぱいいっぱいになる気持ちは分かるけれど、相手に自分を開示しないで、守るという言葉とは裏腹に距離を置こうとされたら、相手は混乱するし傷つくのは当然。

想いと言葉と行動が乖離すると自分も相手も決して幸せにはならない。

あのドラマを見てルカに感情移入している若い子には、そのことは分かっていてほしいなあと思い、ちょっと青臭い思い出話をしてみました。

あー、はずかし。