久々のカムアウト

先週末友人と食事をしていて、なんとなくな話の流れでカムアウトした。

友人は店の入口に背を向けて座っていたのだけど、誰かが扉を開けっ放しにして帰ったようで風が吹き込んで寒そうなしぐさをした。

・・・とそのときである。

「そっちに(並んで)座ったら、レズかと思われちゃうかな」
と友人が言い放った。

「席、交代しようか?」ととりあえず言ってみた。
「ううん、大丈夫」と友人。

その後、わたしは固まってしまい、しばし無言に。
この機会にカムアウトするか、今回はスルーしてしまうか・・・少し迷ったのだ。

なんとなく気まずげな雰囲気に友人も気がついていた。

それで
「実は話していないことがあるんだけど・・・」と切り出して、男性にはドキドキしたり恋愛感情をめったに抱かないこと、女の子と仲良くしているのが好きなことを話した。

彼女は以前の勤務先の同僚で同業者でもある。頻繁に食事をするようになったのは私が独立したこの2年ほどのこと。会っても仕事の話が多く、お互い恋愛からはかなり離れた生活を送っているので、恋愛の話は一緒にいてもほとんどしたことがない。
私は彼女の恋愛観に多少興味がないでもなかったが、自分自身の事を聞かれたくなかったのであえて話しを振ることはなかった。それで、まあそんな話の流れになったら話そうと思いつつカムアウトしないでいたのだった。

その日は珍しく、結婚だの子供だの(そして親の介護)と話題にのぼっていて、話の流れからするとカムアウトするにはうってつけの日だったかもしれない。

彼女はふんふんとうなずいて聞いていた。
「わたしもそうかもな・・・」などと、ぽそっと言っていたけれど、つっこむ精神的余裕はそのときの私にはなかった。

その日の食事は和やかに終了。
意外なことに食事の後、「コーヒーでも飲んでいきませんか?」と彼女のほうから誘ってくれた。
嬉しかった。

「女の子と仲良くしているのが好き」だなんて自分でも生ぬるい表現をしたと後になって思ったのだけれど、少し考えてみれば、この表現が今の私には一番しっくりくるのも事実。
自分のことをレズと呼ぶのは説明が面倒くさいから。
私のセクシュアリティをもう少し詳しく説明するなら、対象は何が何でも女でなくては駄目ということはなく、きっと男でも犬でもネコでもよくて、何より優先されるのはお互いの間に濃密な親密感が存在すること。ただ現実的には女の子と親密になれることがとっても気持ちが良く、嬉しいと感じるということなのだ。

今まで自分のセクシュアリティをほとんど疑ったことのない彼女は、今後どうなるだろう。
変わらないままだろうか、それとも何か変化するだろうか。