男の楽園

腹が立ったので、実名報道

裏シブヤに「やきとり・やきとん かとりや」という雰囲気のよさそうなお店がある。
居酒屋&日本酒好きな私のセンサーは、「ここはきっと旨いよ」と反応していた。
通るたび一度入ってみようと思っていた。

ある時、妹と入ってみようということになった。
店の扉を開けて、私たち二人を見ると店主がこう言った。

「女性のみのお客さんは、お断りさせていただいてんですよ。」

不意打ちに「ふぁー、そうですか・・・」とその場では、すごすごと引っ込んで帰ってきたのだが、時間が経つにつれ腹が立ってきた。

妹は「ドンキでさ、カトちゃんのヅラ買ってきてさ、ネクタイでも締めていけば、こいつらそこまでして入りたいかって入れてくれるよ。カトちゃんのヅラ買おうよー。」と言う。

しかし、姉はカトちゃんのヅラをかぶったままで飲み続ける勇気はないぞ。

それに、そんな洒落が店主に通じるとは思えない。

入店を断られたとき、私はがっかりはしたけれど驚かなかった。
老舗居酒屋には、女性のみの客はお断りという店が他にもあるからだ。
下町・根岸の名店「鍵屋」もそうだ。
ガイドブックによれば、「女性のみの客がいると、男性客が気になって落ち着いて飲めないから」だそうだ。
男性客が一緒なら入店可なのは「この女性は連れがいると思うと、口説こうかという邪な気持ちにならないから」なんですと。

「男性客が気になって落ち着いて飲めないから」というのは、ややキレイにまとめた感がある。
本音は、「男の楽園に女に足を踏み入れてほしくない」、「女がいると邪魔、うるさい」ということではないか?

老舗居酒屋は、古き良き時代の男のロマンを満たすホモソーシャルな社交場という訳だ。

私は老舗居酒屋の雰囲気と丁寧な仕事ぶりを愛しているので、女だからという理由で入店を断られると大変に悲しい。

女だから駄目っていうのもむかつくが、男連れなら可ってのもむかつく!
「入店拒否するようなケチな店は、こっちからお断りだー」と、男子と一緒に行く気にもならないでいる。

この「入店拒否問題」は私の心の中で、以来ずっとくすぶり続けている。
すっきりしないんだよな、いくら考えても。

※近頃、新丸ビルに女性客限定のスナックができたらしいけれど、キレイ目の男子が恭しく接客してくれるらしいです。女子じゃないのね・・・つまらん。